2013年1月17日木曜日

悲劇にほんの食い意地じぃちゃん

 正月明けからずっと民俗学関係の本を読んでいて、さすがに飽きてきて昨日は1ページも読まなかった。そろそろレポートのとっかかりが浮かんできても良さそうなもんだが、なんにも出てこないんでこういうときはだらだらするに限る、と開き直ってすごすことにした。しかしこれが何日も続くと、以前にもあったことだが半年くらい後からやり直したこともあるくらいだから、用心せねばならない。



 昨日の収穫は国営放送で昨年暮れに放送された映画「喜劇にほんのお婆ちゃん」である。約50年前の老人問題を扱った水木洋子脚本の作品。
 当時老人ホームは養老院といった。35年前自分の母親を老人ホームに入れたんだが、その頃は両方が使われていたと記憶する。その養老院での描写からして面白い。ものすごい取材が前提としてあったんだろうなと感じた。
 実にリアルに描かれていながらも、悲劇が根源的なものであるがために逆に喜劇になってしまうという、錯綜としたものとなっており人物描写もさることながら構成のうまさはすんごい!

 役者はオール名脇役スター大競演である。出演者の中で存命の方は市原悦子くらいのものか?小沢昭一もつい最近亡くなった。その彼女も拙宅の近所のお墓のCMをやっている。彼女の役は養老院の新米職員であり、劇中「老人臭さに慣れないわ」という台詞が印象的だった。当時はもちろん加齢臭なんて言葉はない。職員室に戻ってお香を炊いて、それを嗅ぐことで臭いを消そうとするんである。明るく振舞おうとする職員の本音がはっきり出てて、実に気持ちよかった。
 現代の介護ヘルパーも同じである。何回か社員と飲んで実態は知ってる。

 本音を出しまくる老人と、なんとかうまくまとめようとする職員や家族の構図は今も変わらない。その職員や家族が本音を出せば....。当時実年41歳のみやこ蝶々が演ずるばぁさんと嫁、そして息子とのやりとりは解決の糸口が見出せないまま。当時実年50歳の北林谷枝演ずるばぁさんは養老院で諦めの境地にいながら漫然と死を待つ。
 50年前に高齢化社会問題は提起されていたんだ。驚きである。この二人の実年も。

 今日日、生活保護費の削減、高額医療費の是正のための高齢者医療費の本人負担増、など高齢化社会対策に大わらわである。50年前この作品を笑ってみていた20代が”後期”となって再度これを観て何を感じるんだろう?ほんの少し興味ある。



 昨夜のメニューは「鰯のパン粉焼き」、「キャベツとウインナのトマトスープ」。本来ならもう一品作るんだが、食欲が回復しないのでスープの内容を多くしたものにアレンジした。

 やはり暴飲だけではなく暴食というよりは量が多かったようである。大分回復してきた。それにしても映画の中で二人のばぁさんが食べてた浅草の「蒸し鶏」はうまそうだったなぁ。

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