2013年1月26日土曜日

残念な”小樽”関連小説

午後読書。
「海猫屋の客」。作・村松友視。
前半を読みながら大好きな半村良の「私の浅草案内」を思い出していた。

よそ者が住み着いてその土地に愛着を抱きながら土地のひとと触れ合う話である。

が、この小説は比べ物にならないくらいひどいものだった。
やたらに人気のある観光都市への礼賛が、いかにも地元の人が語るような口調で、ちょうどツイートなんかで使われる「いいネ!」で語られる。それもくどい。週刊誌に連載されていたものだから同じような記述が再度出てくるのも仕方ないかもしれないが、それにしてもくどい!

 なぞめかした人物の後半での招待明かしは、ミステリーというより「伝助劇場」の悪だった人が改心してしまう、あのパンチの効かないどんでん返しのようで、しまりがないといったらない。
 もっとも”情緒ミステリー”なる新しい分野を開拓しようとしたのかもしれないが、その古臭さはTVの2時間サスペンス&観光ドラマで、いやっというほどやってきたことである。

 ”謎”の女が好みであるような作者の今回の謎の女はちょっと無理だったんではないの?
「時代屋」の女房が面白かっただけに残念である。



「若い詩人の肖像」。作・伊藤整。
小説と思って読んでたら、告白日記のような内容であり、作者の履歴を見たらその感想は的外れではなかった。名声欲しさと俗物として見られることを極端に用心して回避しようとするずるさが淡々と描かれるが、ドラマもなければ作者に対する共感など生まれてくることもない。

 最後に出てくる恋愛体験などの記述にしても”肉感”を感じることもない。だから友人との会話で自分が動揺する場面でも説得力が弱いのである。自意識過剰が強い自分を描いたことに対しての他人の批判を意識しすぎた結果であろう。こうなると何も書けなくなっちゃうんじゃないかなぁ?

 単なる自己満足のブログのようである。ちょうどこのブログみたいな...。いやっ、こりゃあ大分失礼だな。


 ”小樽”が出すぎて辟易とし、二冊目では”小樽”をまるで感じさせないことで物足りなさと失望を味わった。情けない読後感想文になってしまったべさ。(多分北海道方言)


昨夜のメニューは「なめこと貝柱の雑炊」、「ボロニアソーセージとセロリの中華炒め」、「アボガド入りコールスロー」、「ごぼうとにんじんとしいたけの汁」。
 汁のベースは前日に野菜を二種ゆでたゆで汁である。素朴な味で醤油と塩だけでも充分うまい。

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