[3月5日、星期四。サミー朝だった。
「痛くない死に方」2021年、伴明監督作品が良かった。在宅医の原作の映画化で、在宅医療現場の過酷さや、終末期に対する緩和ケアのありかたなど、エンディングノート同様用意と覚悟を考えておかねばならぬ問題を扱っている。ロケが杉並区や板橋区の病院などが使われていた。劇中、主人公の先輩医師のセリフが強烈な印象を残した。医療技術の発達による死に方のタイプを「枯れる死に方」「溺れる死に方」というものだ。後者は管などを通じて点滴や薬品を投入したうえでの死であることは察することができたが、「枯れる」死に方の方が当人にとっては「痛くない死に方」であるという。現代の医療の在り方についても提言が及ぶ、まじめな作品だった。
亡くなる時の演出や、監督による脚本も素晴らしかったが、主演演じる柄本佑が非常に良かった。今後の活躍が期待できる俳優だ。
二度目の鑑賞だが「美しい夏・キリシマ」(2003年、黒木和雄脚本・監督)天皇の名のもとに死んでゆく国民の哀れさを率直に描いた傑作である。
かとおもえば、くだらないものも多かったな。「マルティナの海」「ハンズオブストーン」。後者はボクシングものだが、パナマ人とアメリカ人の確執がベースとなっていてありがちなロッキーものとは一線を画すが、それだけの話。ロバー・デ・ニーロがトレーナーを演じるのが見ものだった。自身がリングに立ちたかったんじゃないだろうか?「レイジング・ブル2」とか?
アナ・デ・アルマス出演作特集の1本だが、この使い方はもったいない。
「ミシシッピー・バーニング」(1988年、アラン・パーカー監督)かなり久しぶりの鑑賞である。公民権運動家3人の失踪を操作する刑事ふたりを待ち受ける南部白人の執拗な妨害と差別を描く。アメリカを理解するうえで観るべき映画の1本だな。貧困層の白人がその怒りと憎しみを黒人に向けるというわかりやすい構造となんの解決策も講じられない世界一「ひどい国・あめりか」を浮き彫りにした傑作である。ジーン・ハックマンが素晴らしい。